ヘリコバクター・ピロリ菌は人間の胃の粘膜および粘膜下に感染した後、生息し、急性

・慢性の炎症性変化を惹起し、人の胃に種々のダメージを及ぼす　寄生病原体である。

 日本人の胃の中には二人に一人に住み着いているといわれている。長い間住み着いて、胃内で種々の悪さを働く。

鞭毛を有しており胃の粘液内で自由に泳ぎまわり、ときには、胃粘膜下に侵入して、炎症を引き起こす。

慢性胃炎、胃潰瘍の原因菌として、今ではよく知られている。もともと人の胃内は、強酸で細菌は生きられないと信じられてきた。

ところが、このヘリコバクター・ピロリ菌は、菌の体外にアンモニアの膜（バリア）を作り出し、胃液を中和して生きている。

ピロリ菌は、自然界にいる。生存がきびしい環境になると、丸まってコッコイド・フォームといわれる形になり、生き延びる。

人への感染経路や感染方法などはまだ、詳しくわかっていない。食物をとおしたり、水を通して感染してくるのではないかと、考えられる。

難治性胃潰瘍は、このピロリ菌が、除菌されると、治癒する確率が非常に高くなることから、胃潰瘍悪化の原因菌とされている。

また、ある種のリンパ腫が胃内で発生し、除菌することで、治癒することから、細胞を傷害する原因毒素を放出していると、考えられる。